彼は、理想の tall man~first season~

俺達も明日に備えて、この辺で引き上げないとだ。

煙草をもみ消し、ビールを飲み干した。


『トモコ、スマホ忘れないようにね』

『あ! すっかり忘れてたぁ』

『もう、しっかりしてよね』

『うぃっす~』


聞こえてくる声の伝わり具合からして、俺の背中の直ぐ後ろに座っているのは、恐らくトモコという方か――。


『ミサ、明日の朝電話してくれない? アタシ多分寝坊する』

『いいよ。でも、ちゃんと出てよねー』

『うん! 起きられたらね』

『起きられたら、じゃなくて、起・き・る・の!』

『ミサ、厳し~っ』


ミサという彼女は、頼られるタイプなのか?

と、そう思っていた時――――。


『う、わぁっ!!』

そんな声と同時に、背中にドンと、物凄い衝撃が走った。


その直後――

「ちょっ、トモコっ!!」

彼女の叫び声も聞こえた。


「――ってぇ・・・・・・」

「中條っ、大丈夫か?」


身を乗り出した小川に、俺は苦笑い。


突然、俺の背中にまさかの衝撃。

今日はついてない日だと悟った。
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