彼は、理想の tall man~first season~

私の目線が軽く下がってしまうこの営業マンは、なんだか頼りなさそう。

試乗が終わり、ショールームへ移動しながら、その営業マンと話ていると、中條氏が商談テーブルで誰かと話をしていた。

それは、ここへ来た時にはいなかった人で、中條氏が言っていた、お友達の営業マンなのかなと思っていると――。


「終わった?」

中條氏が近付いて来た。

頷くと、やっぱり友達だったらしい営業マンから軽く挨拶をされ、頼りないと思っていた営業マンは、バトンタッチといわんばかりに、その場から直ぐに下げられた。


「改めまして、松本です」

「あ、ご丁寧に、すみません」

名刺を渡され、「麻倉です」と名を名乗り。

中條氏は松本さんを、大学時代の水球部のチームメイトだと紹介してくれた。


どうやら他の商談が長引いて、奥から出てこられなかったようで、試乗に同行出来なかったことを詫びられた。


松本さんは、なかなかガッチリとした体格で、色黒肌の濃ゆい感じの営業マン。

ヨーロピアンな雰囲気の中條氏とは、ちょっと違ったタイプの男性だった。


商談テーブルに案内して貰い、それから車の感想なんかを聞かれ、少し話をした。
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