彼は、理想の tall man~first season~
「悪い、お待たせ。電話、尚輝からだった」

「尚輝からですか?」


なんだろうと思いながらも、中條氏を見ると――変に胸がドキドキしていた。

その胸のドキドキに、やっぱり久し振りに、恋とかそういうのもあっていいんじゃないかとも思ったりで。

過去の苦い恋愛と今のこの感情とが、複雑に交錯していた。


「松本、とりあえず、見積り金額見せて」

中條氏のその言葉に、本来の目的を思い出して、ハッとした。

と、同時に松本さんの空気が変わった気がした。

でも、それは気がしただけではなく、完全にイチ営業マンとしての顔付きで。

こちらが――と、見積書を渡され、いよいよ商談が始まった。



「――あと、フロントのパネルを変更したいのと、」

「色は、どれが希望かな?」

「えっと、この色でお願いします。それから、マットはこのタイプで統一したいので、全部これでお願いします」

「このCのタイプね」

「はい、そのCのタイプでお願いします。それで――ナビは、このメーカーの新製品がいいんですけど」
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