届かない、空【BL】
宣言した通り、それからすぐに退院した彼は、けれどよく病室に現れた。
あまりにも通ってくる日数が多いし、
持っていた松葉杖が無くなって、ギプスも外れているのに来る。
ついでだと思える訳がなかった。
カーテンを閉めていると、
もう彼の居る場所は隣のベッドじゃないから、すぐ近くに座る。
それからカーテンを開けたり開けなかったり。
いつの間にか、顔や腕にあった擦り傷の痕は、彼のも僕のも薄くなっていた。
「もうすぐ退院?」
「まあ、よくなったし」
僕の言葉に、うん、と珍しく彼は短く返す。