届かない、空【BL】
「で、お名前は?」
先輩が僕の隣に座るその人に尋ねる。
いつになく真面目な顔をした先輩は、
まるで娘の恋人を尋問してるみたいだと彼に笑われている。
「はじめまして、空と申します」
ぺこりと頭を下げるこの人は、先輩より年上なはずなのにやたらと腰が低い。いつもとは別人のようだ。
それに対して、何故か先輩は偉そうに接する。
その隣の彼も、ちょっとだけ上から目線だ。
何故だろう。
「息子さんを僕にください」
再度頭を下げながら、先輩たちに向かってそう告げた。
まったくもって、意味が解らない。
あきれてため息を吐く僕。
次の瞬間に3人は声を合わせて笑っていた。
そうしたら何故だか僕も笑いたくなる。