キ ミ ガ タ リ ナ イ
夜。
レース越しから月明かりが差し込んで、彼を映し出す。
…聞こえるのは、ベッドの軋む音と、
素直に発せられる声。
それから、一定の感覚で放たれる水音。
「……慎…」
漏れた声と同時に、彼の名前を呼んだ。
だけど、それを合図に動きのスピードを加速していく。
愛のない行為だって知ってる。
だけど、彼をつい求めてしまうのは…
愛してほしいと思うから。
私たちを見下ろしてる月と、何光年と離れている星と目があう。
そんな悲しい瞳で…見ないでよ。