ゆめいろ*ふぁんふぁーれ
ゆめのいろ

あこがれ


「高坂、お前もーちっと真面目に授業受けてくれない?」



先生は、教科書片手に顔だけこちらに向けてあたしに云った。
今は授業中。

あたしは、教科書は出さずに授業に関係ない本を開けている。


『今から人気声優の本』


将来なりたいもの。
声優。
何時だってそう答えていた。

それは、憧れの人が居る職場。
憧れって云うより、好き、の方が正しいかな。


あたしは声優になる為に必死で勉強した。

勿論、数学や国語じゃなくてもっと専門的なやつ。
中学に上がってから、ずっと。

もっと早く始めてれば良かったな。



「嫌でーす。楽に出来るの中学までだし。勉強なら、してるじゃないですかぁ」



ひらひら、件の本を、相手に見せる。



夢の理解者は、唯一人。







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