償いノ真夏─Lost Child─
*
朝日の眩しさに目を覚ます。
じっとりと湿った肌が、シャツに張り付いて気持ち悪い。
昨夜の事を思い出すと、動悸が速まった。
真郷は髪を掻き上げて、深く深呼吸した。
それから障子を開け、庭に出てみる。
何も居るはずがない。こんな所には、アレはやって来ない。
真郷の姿を見つけて、九郎が小屋から出てくる。
「おはよ、九郎」
九郎に昨夜のような警戒心が見られないので、真郷は今度こそ安堵した。