償いノ真夏─Lost Child─





朝日の眩しさに目を覚ます。

じっとりと湿った肌が、シャツに張り付いて気持ち悪い。

昨夜の事を思い出すと、動悸が速まった。

真郷は髪を掻き上げて、深く深呼吸した。

それから障子を開け、庭に出てみる。

何も居るはずがない。こんな所には、アレはやって来ない。

真郷の姿を見つけて、九郎が小屋から出てくる。

「おはよ、九郎」

九郎に昨夜のような警戒心が見られないので、真郷は今度こそ安堵した。

< 114 / 298 >

この作品をシェア

pagetop