償いノ真夏─Lost Child─
朝食の為に、母屋へ向かう。
「坊っちゃん、おはようございます」
台所へ行けば、いつも通り笑顔のフミ子が出迎えてくれた。
「昨夜は遅くなってすみませんでした。帰ったらもう、坊っちゃんはお休みでしたので起こさない方が良いと思って」
「なんか疲れちゃって。すみません、起きて待ってれば良かった」
実際、空腹を感じる暇すらなかった。
席について、テーブルに置かれたフレンチトーストを口に運んだ。
好物のはずなのに、味はよくわからなかった。
真郷はフミ子に気付かれないように、ちいさくため息をつく。