償いノ真夏─Lost Child─





学校で顔を合わせた夏哉は、寝不足のような赤い目をしていた。

真郷も夏哉も、どちらともなく昨日の事に触れた。

「──昨日のアレ、誰かに話したか?」

「いや。……真郷は?」

「おばあちゃんに話したんだ。そしたら凄い剣幕で誰にも話すなって。だから黙ってた」

「そっか……」

昨日の事が怖いのは二人とも同じだった。自然と口数も少なくなる。

そんな中、真郷はふと思い出したことがあった。


「そういえば、おばあちゃんがあれは『堀川の美那江』だって言ってた。『祭りの後に狂った』とかも……」

そう言うと、夏哉は顔色を変えた。

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