償いノ真夏─Lost Child─

それはそれで、煩わしいものが無くなったので真郷にとっては好都合だったのだが。

唯一の友人である二人が村人から冷たくされるのは、やはり複雑だった。

それに、たまに目に入る、小夜子の白い肌にくっきりと付いた青あざも痛々しかった。

「真郷くんだけだよ、この村で優しくしてくれるの」

真っ直ぐに真郷を見て、小夜子は弱々しくそう言った。

「真郷くんが戻ってきてくれた時、本当に嬉しかった。やっと救われたって、思ったの。それはね、ナツも同じだと思う」

「俺は、小夜子にも夏哉にも何もしてあげられない。そんなヒーローみたいな奴じゃないよ」

「私にとっては、一番のヒーローよ」

恥ずかしげもなくそう言い切られて、真郷の方が呆気にとられた。
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