償いノ真夏─Lost Child─
夏哉は何を言われたのか理解できず、真郷を凝視した。
「ちょっと待てよ!何だよそれ、今ごろになって……」
「ごめん。もっと早く言うべきだったよな」
「姉さんは知ってるのか?」
「ああ。もう伝えたよ」
「そっか……」
夏哉はそれ以上は何も言わず、真郷を責めもしなかった。
「真郷には真郷の事情があるんだろ。姉さんが納得してるならオレは何も言わない」
「夏哉……ごめん、ありがとう」
「別に。離れてたって、オレ達は変わらず親友だろ。──でもさ、ちょっと寂しいな」
「俺も同じ。夏哉は最高の親友だよ、これからも」
二人は拳を合わせると笑い合う。
もうすぐ離れなければならなくても、幸せだった。
今日がいつまでも続けば良いとさえ思えるほどに。
真郷、夏哉、小夜子──三人ずっと一緒だと、誰もが信じて疑わなかった。