償いノ真夏─Lost Child─

──それは、運命のいたずらというには残酷すぎる出来事だった。

オシルシが現れて数日経ったある日のこと。その日は父の機嫌が特に悪かった。酒を買って来いと幾らかの金を投げつけられ、小夜子は隣町の酒屋まで出掛けたのだ。

いつもなら夏哉が一緒に歩いてくれる道を、小夜子は一人、重い買い物袋を提げて歩いた。夏哉はいつも、過保護なまでに小夜子の身を案じている。

その夏哉も、今日は部活で留守だ。彼は運動神経がずば抜けているから、たとえ家のことがあっても交友関係などに支障はないようだ。

小夜子にとって、それは嬉しくもあり、寂しくもある。自分は夏哉のように器用には生きられない……そう、知っているからだ。

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