償いノ真夏─Lost Child─
顔が燃えるように熱い。そう感じたのも束の間、すぐに次の強烈な痛みが襲ってくる。抵抗したくても、りなを押さえつける小夜子は強力で、身動きできない。
「あぐ……」
苦しみに悶えながらも、声を出そうとするが、喉から出るのは喘ぎのみだった。痛みと恐怖で失禁しても、その行為は終わらない。
小夜子はそんな惨めな姿を楽しむかのように、一心不乱にりなを殴り続けた。その瞳に妖しげな光を宿して。
「憎い……憎い……憎い……」
狂った小夜子のうわ言は続いていた。
りなの顔面は血に染まり、大きく変形していた。すでに彼女の意識は無かった。
「おい!そこで何してる!」
怒声にもとれる男性の叫び声に、小夜子はふと我に返る。
「あ……」
手がぬるぬるして気持ちが悪い。視線を移すと、赤々とした鮮血にまみれた自分の両手。
「いやぁぁあぁぁぁ!」
足の間には、醜い血まみれの女が倒れていた。女から微かに振動を感じたが、やがてそれは止まった。
小夜子はわけもわからず悲鳴をあげる。
「ゆ……夢だ……」
気を失う瞬間、誰かが呟いた。