償いノ真夏─Lost Child─
「実は俺にも、思い出の女の子がいてさ。小さい頃、俺が独りぼっちでも、その子だけは一緒に遊んでくれて、優しくしてくれた」
「その子って……」
「転校してきたとき、朝霧さんを見て、やっと逢えたって思ったんだけど……違うのかな」
視線が交わる。
真郷の長い睫毛が影を落とした。
小夜子は、口元を両手で押さえ、瞳を潤ませながら大きく首を振った。
「違わないよ……。嬉しい、私、ずっと待ってたんだよ。なのに、急にキミが来なくなって、だから、寂しくて」
「ごめん、何も伝えられなくて。これからは、いつでも会えるから」
真郷の言葉に、小夜子は何度も強く頷いた。
再会の祝福に彩られた夏は、今、確かに動き出していた──