恋のはじめ
「男性用って・・・・?」
「え・・・・?」
何故そんなことを聞かれるのか、一瞬理解が出来なかった。
「男性用以外何を持ってるの?咲希って……もしかして……」
ほんの何秒前の自分の言動を思い返す。
「……女の子なの?」
口に出していいのか迷いながらも、藤堂の疑問は言語化される。
そして見る見る顔色が悪くなる咲希。
藤堂の顔にも、不安の面が見える。
「お、お願い!!誰にも言わないで!!」
必死にすがりつく咲希の行動は、藤堂の質問の肯定の意味を示していた。
「えっと・・・」
流石に秘密にしておくには重すぎる現実だと、返事に困る。
「お願い・・・・父を亡くして、頼る人も居ないんです。行くとこもないんです・・・」