恋のはじめ
そんな質問に、咲希は迷わず答えた。
「いえ、今ここで土方さんに話した以外、口外しておりません。腹を切る覚悟は出来ています。どんな処分でも受けます。本当にすみませんでした」
深く、深く頭を下げる咲希を前に、土方は立ち上がった。
「俺一人じゃどうにもできねぇ問題だ。近藤さんを呼んでくる」
言って咲希を残し、部屋を出た。
以外だった。
もっと怒鳴られると思った。
咲希は唇を噛み締め、読み取れない土方の表情を頭に浮かべた。
「・・・・・・やめたくない・・・です」
本音が誰にも聞こえず、小さく消えた。