恋のはじめ
それから間もなくして、二つの足音が咲希の背筋を張らせた。
裏切らずそれは今居る土方の部屋で止まり、襖が開いた。
それと同時に慌てて立ち上がる。
もちろん目に映ったのは困り抜いた血相をした近藤と土方。
咲希は瞼を固く閉じ、再び深々と頭を下げた。
「すみませんでした」
力の入った声に、近藤は「まあまあ」と座るよう促した。
「早速だが、咲希くん・・・女子なんだって?詳しく話を聞かせてもらってもいいかな?」
いつも通りの優しい口調の近藤さんに、少し安心する。
だが、土方は怒りを抑えたように咲希を睨む。
「全て話せ。なぜ新選組に恨みがある」
震える声で話し出した。