恋のはじめ



だが、そんな抵抗は虚しく、またもやそれを遮る者がやってきた。



「俺も知ってた。隠してたこと、どんな処分でも受けるぜ」



「平助くんっ」



皆の視線は藤堂に注がれ、咲希の困った表情が増す。



「だから言いたくなかったのに・・・」



呟いた咲希の言葉は、ついた嘘が無駄になったことを示していた。



「他には」



ため息が混ざった土方の怒鳴り声と同時に、斎藤の姿が頭に浮かぶ。



だが、全力で声を切った。



「もういません!!ここに居る皆さんだけです!!」



「ふーん・・・」




沖田の意味深な笑みに土方が神経を尖らせる。



「まだ居るというのか」



「居ませんって」




お願いだから信じてとでも神に頼み込むように声を掠れさせた。




だがその行動は全く無意味で。




「すみません副長」






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