恋のはじめ
「帰ろう」
満足そうに言う斎藤。
だが、咲希は驚いて勢いよく斎藤へと首を回す。
「か、帰るんですか・・・?」
「さすがに本当に駆け落ちするのはまずい。見つかったら今度こそ切腹ものだ」
「で、でも・・・帰ったら私、新選組を追い出されるんですよ!?斎藤さんと一緒に居れ・・・」
途中で目が合った。
斎藤の悲しそうに笑う顔を見ると、どうしても続きが言えなかった。
斎藤は分かって屯所へ戻ることを促している。
二人が一緒にいることのできる術は、どこにもない。
「はい・・・・・・」
咲希は涙を堪え、返事をした。