恋のはじめ
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「お前ら、何処行っていた」
屯所に戻ると、土方の低く、怒りのこもった声が降り注いできた。
「すみません、副長。ただの散歩です」
怯える咲希とは正反対に、冷静に言う斎藤。
「こんな時間まで散歩たあ、どういうことだ」
「ですが副長、先に出て行けと言ったのは貴方です。俺は、ただ副長命令に従ったまでです」
その言葉に、土方は厄介そうにため息をついた。
そして、斎藤と咲希の近すぎる距離にも違和感を感じる。
「もういい。ついでだから島原の処分もここで言う」
突然向けられた視線に、背筋が伸びる。
ゴクリと唾を飲み込み、土方の言葉を待つ。
「考えはさっきと変わらない。何でもいいからここを出ろ。もう新選組に関わるんじゃねえ」
思わず目を伏せた。
分かっていた。
分かっていたことだったが、それは辛すぎる言葉だった。