恋のはじめ
いつの間にか、大好きな場所となっていた。
咲希は斎藤の胸に飛び込み、大量の涙を流した。
「アンタの泣き顔はもう見飽きた」
斎藤は咲希を離し、涙を拭いた。
そして、
「そろそろ、笑え」
言って笑顔を作った。
「斎藤さん・・・馬鹿じゃないですか?こんな状況で、笑えるわけ・・・ないじゃないですか・・・・」
言って、咲希は精一杯の笑顔を斎藤に見せた。
満足そうに笑った斎藤は、そのまま咲希を抱きしめた。
力強く、つぶれてしまうのではないかという程強く。
もう二度と離したくないというように。