恋のはじめ
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血の臭いが、鼻をつく。
辺りに倒れているのは殺されたばかりの不逞浪士達。
辛うじて足の踏み場を確保しながら、島原咲希はどんどん奥へ進んでいった。
「ち、父上ー」
残りわずかの力を振り絞り、精一杯声を出す。
そして一番奥の部屋で、血まみれで倒れている咲希の父、宗弘を見つけた。
「父上…………」
掠れた声で呼ぶが、その身は既に亡骸となっていた。
咲希の頬を、一筋の涙が伝う。
一度流すと、次々と溢れる涙は、止まることを知らない。
咲希はその場で泣き叫んだ。
「父上ーーーーー」