恋のはじめ
だが、男は声色一つ変えずに言う。
「やめておけ。今はそんなことしている時間は無い。そうでないと、お前も死ぬぞ」
「黙れこの、人殺しが!」
咲希は男の言葉を無視し、大きく刀を振り上げた。
しかし、次の瞬間には咲希の手に刀はなかった。
何が起こったのか分からない程の一瞬の出来事。
カランと遠くに飛ばされた刀と、目の前に立つ男も刀を抜いていることで理解した。
弾かれたのだ。
「おのれ・・・」
男が抵抗したことに、さらに怒りを感じ、咲希は生身で突進した。