恋のはじめ




「そこの角を曲がって二つ目の部屋だ」






「え・・・・」




咲希は驚き、ゆっくりと振り返った。



もっと馬鹿にされると思っていた。





瞬間、視界が真っ暗になる。






顔にふわりとした布の感触。






咲希はそれを拭い、その正体を確かめるために土方から目線を移した。






浅葱色。






山形の模様。






背中の『誠』という文字。






羽織だ。






< 61 / 168 >

この作品をシェア

pagetop