恋のはじめ
第三章
____7
****
角を曲がって二つ目の部屋。
咲希はとっさにその部屋へと駆け込んだ。
さほど走っていないはずが、息が荒いのはこの羽織のせい。
あの日のことが走馬灯のように頭の中を駆け巡ったのだ。
殺された父の姿。
この羽織を着た新選組。
憎くて仕方がない。
自分がそんな新選組と同じ羽織を着るのに気が引ける。
だが、一応新選組隊士なわけで・・・・