恋のはじめ
そこからしばしの沈黙を作り、京の町をただ歩く。
いや、そうしていたのは咲希だけかもしれない。
隣をなんとなく歩いているように見える沖田だが、実際はしっかりと不逞浪士達を探していた。
・・・はずだった。
突然離れたかと思うと、いつの間にか甘味屋に立ち寄っていた。
「え!?あの!?」
遠く後ろで叫ぶ咲希に振り向き、無愛想な顔を見せる。
「いいじゃんちょっとくらい。土方さんには内緒だからね」
「い、いや・・・他の隊士の方が困ってらっしゃるのですが・・・」
実際、自分も困っている。
沖田の返事を待つ前に、一緒に同行していた室が咲希の肩に手を置いて深く息を吐いた。
「島原、いつものことだ」