恋のはじめ



「何これ!?今日の当番総司だよね!?何で!?」




二人してガヤガヤと騒ぎ立てる中、沖田がドヤ顔と共に現れた。




「まぁ、僕やれば出来る子ですから。左之さん達も僕を見習ってこれくらい作れるようにな・・・」




「沖田さん!」




腕を組み、二人を見下す沖田の後ろから、同じように腕を組み、だが上目遣いで見る咲希が、言葉を被せてやってきた。





「それ、殆ど私がしましたよね?沖田さんがめちゃめちゃにしたのを何とか修正しながら必死に作った料理ですよね」





声の調子からも、目つきからも、沖田の言動に怒っているのが分かる。





それを聞いた永倉と原田は「やっぱりか」と納得し、二口目を口に入れた。




「総司がこんなん作れるわけねーもんな」




「ちょっとしんぱっつあん!僕も作ったって言ってるでしょ?」




「沖田さんは殆ど邪魔でした」




「言うねー。まぁ総司の料理下手は洒落になんねーしね」




「がはは」と高笑いを見せる原田とは正反対に、今にも刀を抜きそうな沖田の殺気が交差する。






< 94 / 168 >

この作品をシェア

pagetop