恋のはじめ
咲希は睨むにも睨めず、複雑な表情を地面に向けた。
「そういやさ、俺の名前分かってるよね?」
「・・・・・・藤堂平助」
「正解ーもう咲希が来て長くなんのに、まともに話すの初めてだよね?咲希って何歳だっけ?」
「・・・・・・じゅ、17」
「年下だったんだ。って俺18だけどね。あ、俺のことは平助って呼んでいいから!年の差なんて関係ないよ。咲希とは何か親近感湧くんだよねー。年も俺より下だし、身長も俺より低いしー」
勝手に話を進め、指折り数えだす藤堂に置いてけぼりになる咲希。
必死でついていこうと、藤堂の指が折れていく度に軽く頷いてみせた。
「そういや咲希って、父ちゃんも母ちゃんも居ないんだっけ?」
「・・・・二人とも、死にました」
勝手に話題を持ち出しといて、しんみりとなってしまった空気に気まずさを放つ藤堂。
「そっ・・・・か。咲希まだ若いのに大変だったね」