夢桜―謎の少女と暴走族―
第1章
1
売られた喧嘩は買う。
ただそれだけ。
私が公園で時間を潰していた時に突然、男が喧嘩を売ってきた。
最初は、シカトしたが…この男は"私"を知っていた。
―バキッ
男の鳩尾に蹴りを入れる。
―ズサッ
隙が有り過ぎ。
「ゲホッゲホッ……クッ…」
「…………ねぇ」
「ぐあっ…」
「ねぇ、苦しい?」
「…ぐ……るじ……」
そりゃ、苦しいよね。
足で喉を潰そうとしてるからね。
ふと、私は聞いてみた。
男に今生きてて楽しいか?と。
そして男の喉から足を退けた。
「ゲホッゲホッ…ゲホッ…」
「ねぇ、今生きてて楽しい?」
今度は男の側にしゃがんで、同じことを言った。
「ゲホッゲホッ…なんで…そんなことを…聞く…ゲホッゲホッ」
「生きてて楽しい?」
「ゲホッ…………………楽しくねぇ…」
「そっか」
私は、立ち上がって公園の出口に向かった。