ワケがありまして、幕末にございます。
「どうします〜?
これとか〜、あ、これも〜」
気になったものをどんどんとっていく沖田さんの手。
…そんなに買うの?
ちゃんとお金あるの?
「う〜ん…こっち…いや、こっち…」
そんなアタシの心配をよそに彼は悩んでいる。
それは白の着物と濃紺の着物。
見るからにどちらも上質だ。
「沖田さんには白が合うと思いますよ?」
「本当ですか?」
「えぇ」
「じゃあこっちにします!」
笑顔で抱えたのは濃紺の着物。
……( -_・)?
白じゃないんかい。
アタシの意見無視だよね。
性格曲がってるよ、この人。
「すいませ〜ん勘定お願いしま〜す」
…結局全部買っちゃったよ、全部。
お金の心配はいらなかったけど、沖田さんの頭の心配は必要なようだ。
「さぁ甘味屋!!
ほら愁くん早く!
早くしないと逃げられちゃいますよ〜!」
甘味屋は逃げません。
真剣に心配だ、沖田さん…。