ワケがありまして、幕末にございます。
サラリ、紙一重で避けると、見えたのは一束の髪。
と、袴の真っ直ぐな切れ口から見える地肌。
どちらも紛れもなくアタシのだ。
ちょいカチーンきたよ、カチーン。
「んな危ねぇもん、振り回すなっつーの!!」
「うわっ」
一歩で約2メートルの間を0に無くし、男の足を振り払う。
「何しやがんだこの野郎!」
「アンタから仕掛けてきたんだろーが!」
「このガキっ」
立った男が刀を振り上げ、アタシに向かって落としてくる。
けどそんなやすやすと殺られるアタシじゃない。
男の懐に入ったあたしは、一瞬で刀を弾き飛ばす。
ここまできたらもうコイツは何もできない。
腹に2発、顎に1発。
おまけに横っ腹を蹴り飛ばし、男がさっきまで握っていた刀を首筋に突き当てた。