ガラスのカケラ
「あ、ギターだ。いいなあ〜」

私は壁に立て掛けられたギターに触れた。

「いいでしょ」

健輔は得意気にギターを取るといきなり弾きだした。

何の曲かは知らないけれど、健輔がとてもかっこよくみえた。

「すごいね。誰に教わったの?」

「父さんだよ」

健輔はそう言うと、壁の写真に目をやった。

写真にはギターを構えた中年男性と健輔が笑顔で写っていた。

私がその写真に近寄ると、


「死んじゃったんだ」

後ろから健輔の曇った声がした。


「えっ?」

私が振り向くと、健輔はギターを弾くのを止めて、言葉を続けた。

「2年前、病気で。」

私はこの時、健輔が話していた「父さんとの約束」という言葉を思い出した。
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