ガラスのカケラ
そのたくさんの灯りは健輔の住んでる団地の灯りだった。



私、何でここに来たんだろう。


こんな時間に健輔の家を訪ねられるはずもないのに。



そうこうしていると、足に力が入らなくなり、私はその場に座り込んでしまった。


どうしよう。



動けない。


帰れない。




助けて。




「健輔くん…」


無意識にその名を呟いた。

来るはずもない彼の名を。


でも、その名前しか出てこなかった。
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