ガラスのカケラ
私がそーっとドアを開けると、健輔は布団にもぐりこんでいた。

「入ってくるなって言っただろ」

どうやら気配を察したらしく、彼は背中から声を出した。


私はドアのそばで突っ立っていた。

入ってくるなと言われても、今の居場所はここしか無いのだ。


「ごめんね。」


私がそう口を開いても健輔は知らんぷりを決め込んでいる。


私は健輔のそばに座ってもう一度ごめんねを伝えた。


すると、健輔は布団の隅に身を寄せた。


「許してやるよ。」


別に許されるような悪いこともしていないのだが、
強がる健輔がやっぱりかわいくて、私は空いたスペースに身を横たえた。



しばらくして健輔は独占していた掛け布団を私に掛けてくれたものの、
何となく恥ずかしいのか背中を向けたままだった。

「電気、消すからね。」

健輔は立ち上がって蛍光灯の紐を2回引っ張った。

今まで明るかった部屋は一瞬で暗闇に変わった。
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