ガラスのカケラ
健輔の家はすぐそばの団地だった。

「母さん!来て!」

健輔は玄関のドアを勢いよく開けると母親を大声で呼びつけた。

彼の母が出てくると、息子が見知らぬ少女を連れてきたことに驚き、

その子の腕に血が滲んでいることに更に驚いたようだった。

傷は以外に深かったらしく、私は彼の母と彼に病院へ担ぎ込まれた。

後で聞いた話だが5針縫う大怪我だったらしい。

手術が終わると、私の母が青い顔をして仁王立ちで待っていてくれた。

そのそばには健輔と彼の母がいた。

「エリカ!また無茶なことをして!」

母はそう言うと力の限り抱きしめてくれた。
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