伝えたい音~無音の世界で
「千本木…?」
しまった!!
「変わった名字だね。名まえもだけど」
アホでよかった…。
僕はこの瞬間、逞をアホ認定した。
「そうかな…」
「うん!珍しいよ。それにしても一榎ちゃん、すごく可愛いよね」
ちゃん?
可愛い??
僕が?もしかして…こいつ僕の事女だと思ってるんじゃ…
「あのな、ぼ…」
逞に誤解を解こうとした瞬間、僕の頬に何か柔らかいものが当った。
こ、これは…く…く、唇!?
し、しかも頬ちゅーというやつで…相手は男なわけで!
完全に僕の頭はヒートパンクしてフリーズした。
おちつけ!!僕!!
と冷静に脳内で言い聞かせた。
冷静に分析を解析しよう。
何故こうなった!?
理由→思い当たらない
頬ちゅーの相手→泉崎逞(オス)
場所→入学式会場しかも周りの目は僕らに向いている。少なくとも目撃者はかなりいるだろう。
全校生徒と呼ばれる奴らは驚く人が大勢。眼を仰天させている人半数。真っ赤になっている人半数。しかも、その視線は僕らに向いており、教師はおろか、保護者の皆さままでこちらに視線が向いていた。