すぐ傍で。
第一章
一目惚れ。
「いらっしゃっいませ、こんにちは〜」
いつもと変わらない挨拶。
いつもと変わらない暑さ。
いつもと変わらない毎日。
今日もクーラーが聞かない私のお店で私(佐藤冬亜)は、レジをしていた。
6月後半。
梅雨真っ最中、むんむんとするじめじめさと暑い気温が混じる昼頃、今日だけは違う日となった。
レジをしていた私は
お客様がお店に来ると同時になる音と同時に「いらっしゃっいませー」と挨拶をした。
その瞬間だった。
私の瞳が一気にそのお客様に吸い込まれる。
そのお客様は見たまんまの"ガソリンスタンドの人"だった。
あからさまにガソリンスタンドで勤めてる者です!とアピールしているかのような制服を着た、27歳くらいの男性だった。
その人は煙草だけ買いにレジに来た。
その時だったかな‥
君のこと"私の運命の人だ"って思ったのは。
その人はBVLGARI ブラックの香水をしてて、‥私と同じ香水。
これだけで私はその名前も知らない、次また来るかもわからない"お客"に恋をしてしまったのだ。
16歳の夏、私の恋の幕開けでした。
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