すぐ傍で。
第一章

一目惚れ。



「いらっしゃっいませ、こんにちは〜」

いつもと変わらない挨拶。
いつもと変わらない暑さ。
いつもと変わらない毎日。

今日もクーラーが聞かない私のお店で私(佐藤冬亜)は、レジをしていた。

6月後半。
梅雨真っ最中、むんむんとするじめじめさと暑い気温が混じる昼頃、今日だけは違う日となった。

レジをしていた私は
お客様がお店に来ると同時になる音と同時に「いらっしゃっいませー」と挨拶をした。

その瞬間だった。
私の瞳が一気にそのお客様に吸い込まれる。

そのお客様は見たまんまの"ガソリンスタンドの人"だった。

あからさまにガソリンスタンドで勤めてる者です!とアピールしているかのような制服を着た、27歳くらいの男性だった。

その人は煙草だけ買いにレジに来た。

その時だったかな‥
君のこと"私の運命の人だ"って思ったのは。

その人はBVLGARI ブラックの香水をしてて、‥私と同じ香水。

これだけで私はその名前も知らない、次また来るかもわからない"お客"に恋をしてしまったのだ。


16歳の夏、私の恋の幕開けでした。



< 1 / 13 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop