『王恋』☆ハロウィンは恋ざかり☆

「えっ、い、いいえ」


ビックリした……金髪だから一瞬、アルかと思った。


よく見ると、アルより体型が小柄に見える。


「おひとりではないのですか？先ほどから美しい貴方を目で追っていましたが、ずっとおひとりでおられましたよ？貴方のようなお方にエスコートがいないとは……ここにいる独身男性すべてがその候補に預かりたいと思っていますよ」


彼は芝居がかった口調で話し、リンの腕にそっと触れた。


「いいえ、パートナーはいるんです」


リンは困った。


「そんなことをおっしゃって追い払おうとしているのですね？私は引きませんよ？」


何を言っちゃってるの？この人……。


「ダンスのお相手を――」
「だ、だめです！」


腰に手を置かれてフロアーへ連れて行かれそうになって慌てた。


「暑そうですね　それでは庭へ出ませんか？外へ出て涼みましょう」


額から汗が噴き出してきそうで指をやると、目ざとく見ていた彼は誘ってきた。


「いいえ、それは困ります　あ！いました！ほらあそこにっ」


リンは適当に遠くを指さして、彼の腰に置かれた手を振り切り歩きだそうとした。


その時……