『王恋』☆ハロウィンは恋ざかり☆
「リン様、どうかなさったのですか?」


困るリンに声をかけてきたのはフェリクスだった。


目元を隠すマスクをしているけれど、この柔らかな口調と黒髪はフェリクスだとすぐにわかった。


「フェリクス、この方が……」


リンを誘っていた男性は「あっ!」小さく叫んだ。


クレーメンス国の王子を護る双子の1人だとわかったからだろう。


「リ、リン様でしたか、無礼な真似、申し訳ございませんでした 我国の妃殿下がこんなにも魅力的だとは思ってもみませんでした」


深々と頭を下げて男性はその場を去った。


「ありがとう フェリクス どうして私だとわかったの?」


「お声が……最初はわかりませんでしたが、それにしても全く別人に変わりましたね?」


フェリクスのエメラルドグリーンの瞳にじっと見つめられてリンはなんだか恥ずかしくなる。


「そうなの この姿だったらアルに分からないと思う?」


にっこり聞く姿は天使のようで、フェリクスは目を見張ってしまった。


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