『王恋』☆ハロウィンは恋ざかり☆

エルンスト&マリー・ルイーゼ

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アルフォンスが去った後、エルンストは舞踏会室に不審人物がいないかその場からフロアーを見ていた。


入場は厳しく、警備人数も多い。


今まで城で開かれたパーティーで悪いことが起きた事はないが、パーティーが好きではないエルンストは全体まではいかないが見渡せるそこにいたかった。


フェリクスの真似をしたアルがシャーベットオレンジ色のドレスを着た女性に近づくのが見えた。


アルは彼女がリン妃殿下だと言ったが、本当にそうなのだろうか?


背丈は同じようだが、まるっきり日本人に見えないじゃないか。


もし彼女がリン妃殿下だとしたら、アルは夫として恋人として最高の男なんだろうな。


それだけ妻を良くわかっているという事だから。


一度は愛したリンの幸せそうな姿を見ても、今は穏やかな気持ちで見ていられる。


アルは彼女を出会った頃から溺愛していた。


俺は出会いからしてどこかずれていたんだな……。


彼女を泥棒から助けた時、もっと優しくしていたら今側に居たのは俺だったかもしれない。


そんな事を考えて自嘲気味(じちょうぎみ)に笑った。


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