『王恋』☆ハロウィンは恋ざかり☆
「あぁ……ここから離れなければならない」


残念そうに呟くフェリクス。


「えっ？」


どうしてなのか？ハンナはフェリクスを仰ぎ見る。


「あちらを見てごらんなさい」


ダンスを止めて隅の方に寄るとフェリクスは言った。


「ぇ……エルンスト様？それとも……フェリクス様？」


アーレ兄弟とそっくりな男性がリンと一緒にいる。


「まだ疑っているのですね？エルはどこにいるのか分かりません　私のフリをしているあの方はアルフォンス様ですよ」


そう言いながらこっそりマスクを外すフェリクスは驚いているハンナに素顔を見せる。


「ぁ……」


本物のフェリクス様だわ。


右目の下に小さなホクロを見つけて納得した。


じっくり見なければ分からないホクロだけれど、フェリクスが好きなハンナは知っていた。


ぇ……私、キスしちゃった……？


「リン様に見つかってはアルフォンス様に大目玉です　ここを出ましょう」


驚いたまま動かないハンナにフェリクスはにっこり笑って言った。


自分に起きた出来事が把握できていないハンナは、リンと一緒にいるフェリクスそっくりなアルフォンス王子と見比べる。


フェリクスはハンナの手を取ると、バルコニーに向かった。


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表紙・目次

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