『王恋』☆ハロウィンは恋ざかり☆
「どうした?」


「ドレスが……」


ドレスの胸元が5センチほど避けていたのだ。


「何てこと……」


ドレスは借り物だった。


インジェット男爵とは今日が初対面だった。


上流社会の愛人関係を取り持つ組織に今日、このハロウィンパーティーに参加しろと言われたのだ。


義母が屋敷を売ってしまい、行くところが無くなった。


現在住んでいるところはやっと借りられたボロアパート。


義母はマリー・ルイーゼのドレスまでも売ってしまったのだ。


今のマリー・ルイーゼにドレスを買う余裕はなかった。


「破けているな……」


どれだけサカっているんだ?あの男は。


「どうしよう……」


彼女の口から小さくため息が漏れた。


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