『王恋』☆ハロウィンは恋ざかり☆
フェリクス……アルはここで待つように言ったリンを見ていた。


そう言う手段に出たか……。


余裕だったアルの心に、少々焦り……いや嫉妬が芽生えた。


楽しそうにダンスをするリン。


そろそろ行動に移すとするか……。


ワルツの曲が終わりかける頃、アルはリンに近づいた。


「リン様、行きましょう」


フェリクスは相手の男性に会釈すると、リンの腰に手をあてて促した。


「フェリクスっ!、待って、まだアルが……」


アルをおびき寄せたくて仕方なく踊ったのに、まだ目的のアルらしき人は姿を現していない。


フェリクスに促されて、舞踏会室を出て廊下に出る。


「どこかで見ているとしたら、そんなことをしても無駄だと思いますよ」


丁寧な口調だけれど、どこか怒っている風なフェリクスにリンはシュンとなった。


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