『王恋』☆ハロウィンは恋ざかり☆
「仕方ないですね」


無理に食べさせなくても、後で一緒に食べればいいか、とフェリクスに扮したアルは思った。


リンは気もそぞろに歩き始める。


自分を探すリンが可愛い。


あまりにも一生懸命周りを見るリンは男性とぶつかりそうになった。


アルはリンの腰に腕を回してぶつかりそうになったところを回避した。


「お気を付け下さい」


抱き寄せた格好のままアルは背後から声をかけた。


「あ、ありがとう」


「アルフォンス様をお探しになる前に怪我をなさってしまいますよ」


リンの耳元で柔らかい声がする。


「き、気をつけます……」


腰に置かれたフェリクスの手を意識してしまいパッと離れた。


ぶつかりそうになったから支えてくれた、当たり前の事なのに今日のフェリクスに意識してしまうのはアルが側に居ないせいなのかな?


足も痛いし、ウィッグのせいで頭も痛くなってきた。


極めつけはカラーコンタクト。


慣れないレンズで目も痛い。


そろそろ我慢できなくなってきていた。


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