『王恋』☆ハロウィンは恋ざかり☆
「フェ、フェリクス……?」


どうして膝の上に手を置いているの……?


「リン様、前から私はリン様の事を……」


「フェリクス!冗談はやめて!」


弾かれた様に立ち上がろうとしたリンは腕を引っ張られてフェリクスの身体に倒れ込んだ。


リンの手にしていたシャンパンの中身がフェリクスの顔から肩にかけてぶちまけてしまう。


「きゃっ!ご、ごめんなさい」


シャンパンの匂いが鼻につく。


「いいえ、私がリン様を引っ張ったのですから」


濡れた顔と肩を拭おうともせず、ゆっくりシャンパングラスをリンの手から外し、テーブルの上に置く。


「は、離して……今日のフェリクス、変だわ」


「変でもいいのですよ 今日はますます愛らしく、貴方に触れられずにはいられない」


「ふざけないでっ!からかわれても面白くない」


フェリクスに倒れ込んでいた身体を起こそうとしたけれど、抑え込まれる形で身動きできない。


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