『王恋』☆ハロウィンは恋ざかり☆
「あっ!でもジャケットがシャンパンで……」


先ほどこぼしたところがまだ濡れている。


「これくらいなら大丈夫だよ」



******



身なりを整えて舞踏会室に向かう間、リンはあんなに泣いてしまったことが恥ずかしく、アルの顔をよく見られずに半ば俯き加減だった。


「リン なぜ俯いているんだい?」


「……恥ずかしくて……それにまだ目が赤いから」


「見せてごらん?」


アルは立ち止まると、リンの顎をそっと持ち上げた。


「それほど酷くはないよ ほら、笑って?」


アルに言われて笑みを作って浮かべる。


「それでいい 可愛いよ」


リンが笑みを浮かべると、そう言って額にキスが落とされた。


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