わたしとあなたのありのまま ‥2‥


 メロンソーダと、ついでに自分のレモンティーもグラスに注ぐ。

 戻って来ると、「悪いね」と悪戯っぽく田所は笑った。

 が、田所が気を利かせて席を詰めてくれる気配もなく、仕方なく再びその膝の上をドキドキしながら移動する。


 と、私のお腹に田所の両手が後ろから伸びて来て、その手によってグイと後方に引き寄せられ、田所の膝の上に腰を落としてしまった。

 ちょっ、ちょっと何これ?
 たちまち頭の中がパニックに陥る。


「あの、田所くん?
 この体勢で私にパフェを食えと?」

 平静を装って言ってみるも、あまりに動揺し過ぎて声が震えた。

 にも関わらず田所は、「ん」と、とてもとても涼しげに答え、私の左肩の上に顔をチョコンとのせた。

 私の左頬と、田所の右頬がピッタリとくっついた。

 また心臓が暴れ狂う。
 どうしてくれるんだ。


 周りの客が、そんな私たちには全く無関心だったことがせめてもの救いだった。


 必死に逃れようとしてみたけれど、田所は頑として私のお腹を放そうとしない。
 頬も、接着剤でも塗ってあるかのように、密着したまま離れない。


 すぐに無駄な抵抗は諦めて、取り敢えずは、このまま食べてみようと愛しいパフェに視線をやった。


< 140 / 363 >

この作品をシェア

pagetop