わたしとあなたのありのまま ‥2‥


 私の家の前まで来ると、田所は私と向き合うようにして立った。

 ほんの少しの間、漆黒の瞳を揺らして、黙ったまま私を見詰めていたけれど、やがて、意を決したように口を開く。




「ほのかさん。
 俺の愛は伝わったでしょうか?」




「何? 急に……
 変だよ田所、今日ずっと変だった」

 聞きたくない言葉が続く予感を掻き消したくて、慌てて私も言葉を発する。

 けれども、田所はそれに対しては答えず、悲しげな苦笑を浮かべて続けた。

「ほんとは……
 酷いことして、お前に思いっきり嫌われるってのも考えた。
 けど、
 やっぱ、ほのか傷つけるのは抵抗あって」

「何言って……」


「ほのか、苦しいよな?」「……めて」


「俺も苦しい」「やめてっ!」


 やめてって言っているのに、どうして田所は聞いてくれないんだろう。

 両頬を、ダラダラと生温かいものが伝う。
 止め処なく伝う。


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