わたしとあなたのありのまま ‥2‥
「ほのか、愛してる」
掠れた声で、田所は囁くように言った。
両の目から、ポロポロと綺麗な雫をこぼしながら笑って。
最後の最後で田所は、
私が一番欲しかった言葉を残した。
そうして、静かに背を向け歩き出す。
霞む視界の中で、田所の背中はゆっくりと小さくなっていった。
酷いよ。
こんなのあんまりだ。
これが私たちにとって最善の道だと、
そう、勝手に一人で結論づけて……
酷いよ、田所。
幸せの絶頂を知ってしまったら、それを奪われることがどれほど残酷なことか、あなたは気付いていない。
この身を引き裂かれるような哀しみを、
私はどうやって耐えればいいのですか?
せめて――
その方法だけでも教えて欲しかった。